演劇について

台本の読み方①「セリフから感情を作らない」

台本に書かれているセリフは、その人物の感情から生まれた最終的なアウトプットです。

ところが、台本をもらった役者が最初にやりがちなのは、そのセリフに「それっぽい感情」を乗せることです。

怒っているセリフだから怒った声で言う。
悲しいセリフだから悲しそうに言う。
嬉しいセリフだから嬉しそうに言う。

一見すると正しそうですが、僕はアプローチが逆だと思っています。

大切なのは、そのセリフが出てくる感情を作ることです。

つまり、

状況・出来事
   ↓
人物の感情
   ↓
人物の欲求・行動
   ↓
セリフ

という順番です。

セリフを先に見て「これは怒っている」と決めるのではありません。

「この人物に何が起きたのか」
「何を感じたのか」
「相手に何を求めているのか」
「なぜ今、この言葉を言わなければならないのか」

そこを考える。

例えば「そんなこと言ってない!」というセリフがあったとして、それを最初から怒鳴る必要はありません。

本当に怒っているのかもしれない。
必死に否定しているのかもしれない。
嘘がばれそうで焦っているのかもしれない。
悲しくて、思わず否定しているのかもしれない。

同じ言葉でも、そこに至る感情が違えば、出てくる声も身体も変わります。

だから、セリフをどう言うかを考える前に、なぜそのセリフが出てくるのかを作る。

感情が本当にそこまで積み上がっていれば、セリフは自然に出てきます。

これは、セリフに感情を「乗せる」のとは少し違います。

セリフは感情から出てくる。感情をセリフに乗せるのではない。

台本に書かれているのは、人物の人生の全部ではありません。
書かれている言葉の下には、その言葉を言わせた出来事や感情があります。

台本を読むときは、まずそこを探してみる。

「このセリフは、どう言えばいいんだろう?」ではなく、

「なぜこの人物は、このセリフを言わなければならなくなったのだろう?」

と考えてみる。

そこから始めたほうが、セリフはずっと生きたものになると思います。

文責:チャッピー