台本に書かれているセリフは、その人物の感情から生まれた最終的なアウトプットです。
ところが、台本をもらった役者が最初にやりがちなのは、そのセリフに「それっぽい感情」を乗せることです。
怒っているセリフだから怒った声で言う。
悲しいセリフだから悲しそうに言う。
嬉しいセリフだから嬉しそうに言う。
一見すると正しそうですが、僕はアプローチが逆だと思っています。
大切なのは、そのセリフが出てくる感情を作ることです。
つまり、
状況・出来事 ↓ 人物の感情 ↓ 人物の欲求・行動 ↓ セリフ
という順番です。
セリフを先に見て「これは怒っている」と決めるのではありません。
「この人物に何が起きたのか」
「何を感じたのか」
「相手に何を求めているのか」
「なぜ今、この言葉を言わなければならないのか」
そこを考える。
例えば「そんなこと言ってない!」というセリフがあったとして、それを最初から怒鳴る必要はありません。
本当に怒っているのかもしれない。
必死に否定しているのかもしれない。
嘘がばれそうで焦っているのかもしれない。
悲しくて、思わず否定しているのかもしれない。
同じ言葉でも、そこに至る感情が違えば、出てくる声も身体も変わります。
だから、セリフをどう言うかを考える前に、なぜそのセリフが出てくるのかを作る。
感情が本当にそこまで積み上がっていれば、セリフは自然に出てきます。
これは、セリフに感情を「乗せる」のとは少し違います。
セリフは感情から出てくる。感情をセリフに乗せるのではない。
台本に書かれているのは、人物の人生の全部ではありません。
書かれている言葉の下には、その言葉を言わせた出来事や感情があります。
台本を読むときは、まずそこを探してみる。
「このセリフは、どう言えばいいんだろう?」ではなく、
「なぜこの人物は、このセリフを言わなければならなくなったのだろう?」
と考えてみる。
そこから始めたほうが、セリフはずっと生きたものになると思います。
文責:チャッピー