【あらすじ】
市川市行徳に伝わる動物報恩の昔話。田の畔の清水蟹を助けた男が、蛙を呑もうとする蛇に末娘を嫁にやると約束するが、嫁入りの晩、かつて助けた蟹の大群が押し寄せて蛇を退治し、娘は蛙からもらった着物を着て旅立っていく。
【民話の内容】
むかし、行徳のある村に、心やさしい男が住んでいた。あるとき男は、田んぼの畔の清水にすんでいた蟹を見つけ、山まで運んで逃がしてやった。
またあるとき、男は蛙を呑みこもうとしている蛇に出くわした。男は蛇に向かって、自分の末娘を嫁にやるからと約束をして、その場をおさめた。
やがて嫁入りの晩がやってきて、約束どおり大蛇が男の家へやってきた。すると、かつて男が山へ逃がしてやった蟹たちが大群となって押し寄せ、はさみで蛇をはさみ殺してしまった。こうして娘は難をのがれ、あの蛙からもらった着物を身にまとって、旅立っていったという。
この話は、明治五年生まれの祖母から、昭和のはじめごろに聞いた話として、行徳の家々に語り伝えられてきたものである。