【あらすじ】
上田秋成『雨月物語』の「浅茅が宿」は、下総国真間を舞台に、戦乱のため七年間帰れなかった男・勝四郎が、故郷で亡き妻・宮木の姿に出会う怪異譚である。終盤では真間の手児奈伝承が語られ、宮木の悲劇と重ね合わされる。
【民話の内容】
下総国葛飾郡真間郷に住む勝四郎は、家を再興するため妻の宮木を残して京都へ商売に出る。ところが関東の戦乱などによって帰郷できないまま七年が過ぎる。ようやく真間へ戻った勝四郎は、荒れ果てた旧宅で宮木と再会し、一夜をともに過ごす。しかし翌朝になると家は廃墟のようになっており、近隣の老人から、宮木は戦乱の中ですでに亡くなり埋葬されていたことを知らされる。物語の終盤では、老人が古代の真間の手児女(手児奈)の伝承を語り、勝四郎と宮木の悲劇を真間に伝わる古い女性の悲劇と重ね合わせる。なお本作は中国明代の『剪燈新話』「愛卿伝」、浅井了意『伽婢子』の関連話などを踏まえて成立した文学作品であり、市川・真間の口承民話そのものと単純に同一視すべきではない。