演劇について

身体表現①「動くより、止める」

演技でもダンスでも、身体を使うときに「どう動くか」ばかり考えてしまう人は多いと思います。

でも、僕はむしろ、動くことよりも止めることを意識したほうがいいと思っています。

観客の目からすると、ずっと動いているものは意外と捉えにくいものです。
動きそのものは流れていってしまいます。

その途中に、きちんと停止している時間があると、そこが強く印象に残ります。

ダンスで考えると分かりやすい。

動く → 止める → 動く → 止める

カウントに合わせて、動くところは大きく動く。
そして、止めるところではきちんと止める。

それだけでも、動きにキレが出ます。

演技も同じです。

ずっと身体が動いていると、観客に届けたい表情や視線の変化が埋もれてしまいます。

だから、ここを見せたいという瞬間には、きちんと止まる。

止まるというのは、何もしないということではありません。

全身が止まっているからこそ、首を少し動かす、視線を変える、表情を変える、といった小さな動きが大きな意味を持つようになります。

全身を止める
   ↓
首だけ動かす
   ↓
視線を変える
   ↓
表情を変える

逆に、身体全体が常に動いている状態で顔だけを細かく動かしても、その変化は観客には届きにくい。

だから身体表現というのは、派手に動けることだけではありません。

大きく動く。
きちんと止まる。
そこから小さく動く。

この切り替えができることが大切です。

そして、止まることができると、感情の細かな表現もできるようになります。

動き続ける身体ではなく、止まった身体の中に何を持っているか。

そこから、視線一つ、首の角度一つ、表情一つで感情を届けることができます。

動くことを考える前に、止まることを考える。

全身を止められるからこそ、身体の一部分を動かして表現できる。

これはダンスにも演技にも共通する、身体表現の基本だと思います。

文責:チャッピー