HATAKITI 演劇の教科書|照明
第3章 灯体の中で光はどうなっている?
光源から出た光が、灯体の中でどのように反射・集光・整形され、舞台へ届くのかを学びます。
第3章 灯体の中で光はどうなっている?
灯体は、ただ光を出す箱ではありません。光源から出た光を、反射・集光・整形し、舞台に必要な形へ変えていきます。
第2章では、凸、フレネル、PAR、エリスポット、ホリゾントライト、LED灯体など、いろいろな灯体を見ました。
ここでは一歩中に入って、「灯体の中で、光がどう加工されているのか」を見てみます。
光を出す
利用しやすくする
広げたりする
調整する
必要な形で届ける
※すべての灯体が同じ構造ではありません。ここでは、照明器具を理解するための基本的な考え方として整理しています。
3-1 光源
まず、光そのものを出す部分が光源です。
昔から使われてきた舞台照明ではハロゲンランプなどの電球が代表的でした。現在はLEDを光源にした灯体も増えています。
光源が変わると、消費電力、発熱、色の作り方、調光方法などにも違いが出ます。

光源って、要するに電球みたいなもの?
そうです。まず「光を生み出すところ」が光源です。ただし、舞台照明では光源そのものを見るのではなく、その光を灯体の中でどう使うかが重要になります。
3-2 反射鏡
光源から出た光は、すべてが舞台に向かって進むわけではありません。そこで使われるのが反射鏡です。
反射鏡で光を反射させることで、光源から出た光を前方へ効率よく導きます。
灯体によって反射鏡の形や配置は異なります。つまり、反射鏡も光の「広がり方」や「集まり方」に関係する重要な部分です。
3-3 レンズ
次にレンズです。レンズは光の進む方向を変え、光を集めたり、広げたりするために使われます。
第2章で見た凸レンズやフレネルレンズも、この役割を担っています。

レンズを動かすと、光の広がりも変わるの?
変わります。灯体によって仕組みは違いますが、レンズや光源との位置関係を変えることで、光の広がり方を調整できるものがあります。
この「光をどこまで広げるか」は、第1章で出てきた5つの視点の「広がり」につながっています。
3-4 光軸とビーム
灯体から出ていく光を考えるとき、中心となる方向を光軸として考えると分かりやすくなります。
そして、灯体から舞台へ向かって進む光のまとまりをビームとして捉えます。
照明を仕込むときは、「どこに灯体があるか」だけでなく、その灯体からどの方向へ、どれくらいの範囲の光が出るのかを考えます。
光を考えるときの基本
灯体の位置 + 光軸の方向 + ビームの広がり
この3つを合わせて考えると、「この灯体をどこへ向ければ、どこが照らされるか」をイメージしやすくなります。
3-5 絞り
灯体によっては、光の広がりを調整するための絞りがあります。
ここでいう絞りは、単純に「暗くする」という意味ではありません。光の広がる範囲を狭くするための機構として考えると分かりやすいでしょう。

絞るって、暗くするってことじゃないの?
照明では、そこを分けて考えます。明るさを変えるのは調光の仕事。絞りは、光をどこまで広げるかを調整するためのものです。
3-6 カッター
エリスポットなどに備わっているカッターは、光の一部を遮って、光の形や境界を作るための機構です。
たとえば、舞台の床には当てたいけれど、背景の幕には光を当てたくない。あるいは、窓のような四角い範囲だけを照らしたい。
そんなときに、カッターを使って「光をどこまで当てるか」を細かく決めます。

光を切って、形まで作れるんだ!
そうです。カッターは「光を減らす部品」ではなく、光の境界を作るための道具として考えると理解しやすくなります。
絞り:光の広がりを調整する。
カッター:光の一部を遮って、境界や形を作る。
3-7 ゼラホルダー
従来型の灯体では、光の色を変えるためにカラーフィルター(通称:ゼラ)を使うことがあります。
そのゼラを灯体の前に固定するための部分がゼラホルダーです。

じゃあ、色を変えたいときは、このゼラホルダーにゼラを入れるんだね?
その通りです。灯体によってホルダーの位置やサイズは異なりますが、基本的には灯体の光がゼラを通るように取り付けます。
ゼラそのものについては、ゼラ色見本データベースで色番号や透過率などを確認できます。
第3章まとめ
灯体の中では、光源から出た光をそのまま舞台へ送っているわけではありません。
光源 → 反射鏡 → レンズ → 絞り・カッター → 舞台というように、光を整えながら必要な形に近づけています。
灯体によって構造は違いますが、「光を作る」ではなく「必要な光に加工する」と考えると、灯体の役割が分かりやすくなります。

中の仕組みが分かると、灯体の違いも少し分かってきた!
次は、灯体を「どこから当てるか」です。
同じ灯体でも、取り付ける場所や方向が変われば、舞台に届く光は大きく変わります。