HATAKITI 演劇の教科書|照明
第7章 色を作る
ゼラ、色温度、LEDの混色。照明の「色」を、感覚だけでなく仕組みから考えます。
導入 「赤い光」だけではない
照明の色は、単純に「赤・青・黄色」を選ぶだけではありません。光源、フィルター、混色、周囲の色との関係によって、同じ舞台でも見え方が変わります。
たとえば、白い衣裳に青い光を当てれば青く見えます。しかし、赤いゼラを通した光と、RGBのLEDで作った赤い光は、同じ「赤」と呼んでも光の作り方が違います。

じゃあ、色を選ぶだけじゃなくて、どうやってその色を作ったかも考えるの?
その通りです。第7章では、色を「材料」と「作り方」の両方から見ていきます。
7-1 ゼラで色を作る
従来型の灯体では、光源の前にカラーフィルター(通称:ゼラ)を入れて、通す光の成分を変えます。
ゼラは光の一部を通し、一部を吸収します。そのため、白い光にゼラを重ねると、舞台に届く光の色が変わります。
第3章で登場したゼラホルダーは、このゼラを灯体の前に取り付けるためのものです。
実際の番号や色名を調べるときは、ゼラ・カラーフィルター一覧も利用できます。
ゼラを見るときの情報
- メーカー
- シリーズ
- 番号
- 色名
- 透過率(Transmission)
- どの灯体・場面で使うか
7-2 色温度を知る
白い光にも「暖かい白」「冷たい白」があります。これを考えるときに出てくるのが色温度です。
色温度はK(ケルビン)で表します。数字が低いほど暖色側、高いほど寒色側へ傾く、という理解から始めると分かりやすいでしょう。

ただし、舞台照明では「色温度が高い=必ず青い」「低い=必ず赤い」と単純化しすぎないことも大切です。
7-3 LEDでは色をどう作る?
カラーLED灯体では、複数の色のLEDを組み合わせて一つの色を作る機種があります。
代表的なのがRGBです。赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の光を組み合わせて、さまざまな色を作ります。

最近のLED灯体では、RGBだけでなく、Amber、Lime、Whiteなど別の色のLEDを加えて、より細かく色を作れる機種もあります。
7-4 「同じ色」でも光の作り方が違う
ゼラとLEDは、同じ色を目指していても仕組みが違います。
そのため、同じ色名でも、灯体や光源の違いによって衣裳や舞台美術の見え方が変わることがあります。

7-5 色は「単色」ではなく組み合わせで考える
舞台では、一つの色だけで全部を照らすとは限りません。
たとえば、前明かりを少し暖色、サイドを寒色にすると、人物の立体感を保ちながら舞台全体の空気を作れます。
バックライトだけ色を変える、背景だけ別の色にする、場面転換で色を少しずつ変える、といった方法もあります。

7-6 実際に色を比べてみる
色は実際に当てて比べると、一気に理解しやすくなります。
5分照明エチュード「同じ場所を3色で見る」
- 同じ灯体、同じ位置、同じ明るさで、色だけを変えます。
- 暖色系、寒色系、彩度の高い色など、3種類を順番に当てます。
- 顔、衣裳、舞台美術、背景の見え方がどう変わったかを書き出します。
- 次に、前明かりとサイドライトで色を変え、人物の立体感の変化を比べます。
色の見え方は、劇場の設備、灯体、舞台美術、衣裳、客席環境などによって変わります。実際の現場では必ず実機で確認します。
第7章まとめ
照明の色は、ゼラやLEDなど「色を作る方法」から考えると理解しやすくなります。
ゼラは光を通す・吸収することで色を変え、LEDは複数の光を組み合わせて色を作る、という違いがあります。
色温度は白色光の暖かさ・冷たさを考えるための基本的な指標です。
そして舞台では、一つの色を選ぶだけでなく、前・サイド・バック・背景など複数の光を組み合わせて色の設計を行います。
次の章では、仕込んだ灯体を実際にどこへ向けるか、「フォーカスと明かり合わせ」を学びます。

色も、選ぶだけじゃなくて、どう作るかと組み合わせ方が大事なんだね!